証券は貨幣価値の多重計上
輝の会は不良債権問題等、日本及び世界の金融経済問題を解決しました。
証券は貨幣価値の多重計上

 一般に、証券(株、債券等)の価値の源泉は、将来獲得する貨幣(キャッシュフロー)にあります。将来キャッシュフローを現在価値に換算して、証券価格が算出されています。
 企業が将来獲得する貨幣とは、企業が将来提供する静的価値との交換で受領する動的価値のことになります。
 貨幣で証券(将来取引価値)を購入できるということは、貨幣と証券(将来取引価値)が対等の価値であることを意味しています。これは貨幣に将来取引価値(将来キャッシュフロー)が内包されていることを意味します。
 貨幣はフラクタル構造だと説明しました。ある貨幣には、過去の経済取引に使用した貨幣が内包されているのです。
 市場における証券の売買は、貨幣のフラクタル構造が逆転している状態を意味します。(貨幣に過去の取引が内包されているのが本来の貨幣の構造。将来価値を内包するのは逆ということ)

 将来の取引価値は期間を大きくとればいくらでも大きくなります。ここから現在の貨幣を生み出したら、いくらでも貨幣ができてしまいます。この状況を許容すると、静的価値との交換結果として発生している動的価値(貨幣価値)総額よりはるかに多くの貨幣が発生するため、貨幣価値が大きく低下します。結果として物価急上昇や信用不安につながってしまうのです。

 将来の経済取引価値から現在の貨幣(動的価値)を生み出す手法はすべて禁止する必要があります。株同様、発行者の借入にする等の対応が必要なのです。そうしなしと、貨幣価値が安定しないため、金融・経済制度が不安定になってしまうのです。

 株や国債では、現在の貨幣の中に将来の貨幣の価値が内包されていることになります。
  ・・ 本来と逆の構造になっています。

 現在 → 未来 (本来の形:現在の貨幣が未来の貨幣に内包される)
 未来 → 現在 (逆の形:将来の貨幣が現在の貨幣に内包される)

 両方合わせると、循環します。

 回転数に制限がないため、何回でも回転可能です。
 いくらでも貨幣を生み出すことが可能となります。(貨幣価値の多重計上)
 経済取引価値を多重計上している状態といえます。
 1つの経済取引価値がなくなると、その回転数+1倍の価値が失われたように見えることになります。
 リスク拡大構造なのです。ある経済取引が失われた場合、その回転数+1倍の損失が発生するのです。
 回転数が多くなるほど、1つの経済取引価値の喪失により失われる価値が多くなります。
 動的価値が回転数倍されているため、動的価値総額の合計が静的価値合計よりもはるかに多いことになります。

 動的価値合計 > 静的価値合計

 これは、貨幣総額を見て豊かになったと思っても、実際には購入できるものがない状態を意味します。よって、この循環は禁止すべきだということになります。
 静的価値総額より貨幣総額が多くなると、買占めなどの現象につながります。よって、将来キャッシュフローを内包する動的価値の売買は禁止すべきなのです。

 経済取引時にだけ貨幣価値(動的価値)が発生する制度を導入すれば、将来取引による貨幣価値を事前計上することはないため、このような矛盾は発生しないことになります。

 貨幣は株などの証券を通じてこのような構造になっています(図21)。将来の貨幣価値から証券が発行され、この証券は現在の貨幣と交換可能です。ということは、貨幣が将来の貨幣と現在の貨幣の混合物として構成されていることになります。
 (現在貨幣とは、過去に静的価値との交換に用いられた動的価値のことです)
 (将来貨幣とは、将来静的価値との交換に用いられる動的価値のことです。現在は取引対象となる静的価値が存在しないことになります(経済的価値の無い貨幣))

 この図から、いくらでも貨幣を生み出せることが理解できます。
・貨幣が将来貨幣から生成されている。将来貨幣は期間を延ばせばいくらでも計上できる。
・貨幣価値の低下につながる。
・実際の経済的価値(静的価値)より多くの経済的価値が存在するように見える。
・1つの経済取引が失われると、その何倍もの価値が失われたように見える。
・リスク増幅構造になっている。

 (図21)を(図20)を比較すると、「静的価値」があるべき場所に「将来貨幣」があることが分かります。これは現在貨幣の経済的価値が将来貨幣になっていることを意味します。取引対象となる静的価値のない貨幣が生じているのです。(偽札と同じ働きです)

 (図22)高速回転しながら定常状態になっている。これが現在の貨幣構造です(将来価値を内包しているため)。循環構造(証券を含めた貨幣構造)が、現在の貨幣の構造ということになります。
 現在貨幣総額と貨幣総額の比から、現在−将来間の貨幣の回転数が決まります。

証券化は搾取手段

 証券化は将来の経済取引で発生する動的価値(将来貨幣)と過去の経済取引(静的価値と動的価値の交換)の結果として発生した動的価値を合わせて、現在使用できる動的価値を生成する制度です。結果として動的価値総額が過去の経済取引対象となった静的価値総額より多くなります。これは平均的な貨幣価値(動的価値)が小さくなることを意味します。その結果、物価が上昇します。
 証券化を行わない人は、貨幣総額が増えないため、証券化による貨幣価値低下により保有動的価値の動的価値総額に対する割合が低下します(所有貨幣割合が低下)。逆に証券化を行う人は、保有動的価値の動的価値総額に対する割合が増えることになります。
 この動的価値で経済取引を行えば、受領できる静的価値の割合は証券化を行う人ほど多くなります。
 以上から、証券化は証券化を行わない人から証券化を行う人への価値の搾取構造になっていることが理解できます。

証券化による貨幣価値の低下

 借用証書は借入時に作成される契約書です。(債務者・債権者間の契約書)
 借入では、貨幣を使える人が債権者から債務者に変わりますが、貨幣総額は変化しないため、貨幣価値は保存されます。

 借用証書を証券化して市場での売買を可能にすると、借用証書と貨幣が対等の関係になります。借用証書は将来貨幣を受領できる(返済してもらう)権利を意味しているので、将来貨幣と考えるべき存在です。 これと現在の貨幣が対等の関係になるということは、現在貨幣に将来貨幣が含まれることを意味します。対応する静的価値のない貨幣が発生するのです。これが貨幣価値の低下につながり、物価上昇や搾取、バブル等が発生することになります。

 サブプライムローン問題の本質はここにあります。住宅ローン債権を金融機関がそのまま保有していれば、貨幣総額は増えないため、ローン返済が滞った場合、その金額分の損失で済んだのです。
 しかし住宅ローン債権を証券化したため、貨幣総額が増大しました。(将来貨幣と現在貨幣間の回転が発生)。
 その結果、住宅ローンの不良債権による損失が拡大したのです(損失額が(回転数+1)倍になる)。証券化はリスク増幅要因なのです。

 株は発行企業の借入とするべきです。発行企業が時価で全て買い戻す必要があります。
 買い戻せない場合に株の代わりに発行する借用証書を市場で売買可能にすることは、対応する静的価値のない貨幣の発生を意味します(現在貨幣に将来貨幣が含まれるため)。
 よって、株の代わりに発行する借用証書は市場での売買を禁止するべきです。

 銀行は保有株式の含み益の一部を自己資本に計上しています。しかし、株が借入になれば、資本に計上できません。その結果、株価下落による増資等の対応は不要となります。

 株価下落による自己資本減少は、将来貨幣と現在貨幣の間の回転によるリスク増幅の結果です。

 株価下落(将来貨幣減少) → 資本減少(現在貨幣減少) → 増資が必要

 将来貨幣と現在貨幣の交換を禁止することにより、貨幣価値が安定します。その結果、金融不安という状況を回避することが可能になるのです。

(2008.10.27 午後4時 記載)
(2012.10.18 回転数倍→回転数+1倍 に修正(3箇所))
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